Digital Tea House展

 Digital Tea House展に行った。
 これは今年8月にコロンビア大と東京大の合同で開催されたワーク ショップの成果発表で、テーマは「茶室」。コンピュテーショナルデザインならではの構造やデザインの面白さを、ソフトウェア(CADのRhinocerosと形状生成ツールのGrassHopper)を駆使して実現するのが目的である。
 3チームの内2チームは実際に制作された茶室を展示しており、実際に中に入ってみることが出来る。


 素材はベニヤ板と決まっており、畳などを付随的に用いることは出来る。

 写真上の作品は東大の「チーム洗濯板」の作品である。
 全体の形状は茶碗をモチーフにした円筒形であり、側面を波打った板で覆っている。厚みのあるベニヤを曲げるために溝が掘り込んである

底面は二畳敷きになっているが、上方に行くほど開放的になっており、出入りには側面に空けられたにじり口を使う。

 コンピュテーショナルデザインがテーマだが、この作品の肝となる側面のカーブに関しては基本的に手書きベースで造形を行い、それを3次元の板として加工した際の矛盾のチェックや、溝の加工位置の計算などを主にソフトで行っているらしい。

 もう一つは東大の「チーム換気扇」の「13:00:08:25:2010」である。
 円錐曲線を切断したサーフェス上に点を配置し、それをつないだ三角形でサーフェスを覆っている。三角形の辺にあたる部分から押し出されるようにベニヤ板のフレームが張り出し、それを結合して構造を維持している。このベニヤはレーザカッターで自動で切り出されている。

 この押し出す厚み(板の幅)はベースとなる三角形の面積と基準点(底面の茶釜を置く位置)を変数とし、生成している。
また、この題名は時刻を意味しており、この時刻になるとフレームが床に落とす影が床のパターンと一致するように作られている。

 「茶室」というテーマはこうしたデザインスタディ向きであるように思う。自由度が高く、幾つかの約束事さえ守れば(茶が点てられれば!)決まった型は存在しない。上記2点は、同じテーマでも全く違うアプローチである。
 「チーム洗濯板」の作品は、「茶室」としては美しいと思う。材質を洗練すればどこかに置いても良いくらいに。ただ、コンピュテーショナルデザインの面白さと個人的に思っている「意図しなさ」は薄い。もちろん、最終的に何が美しいかを決めるのは作者であるのだけれど、「生成規則」から作られる感じはない。

 「チーム換気扇」の作品は、影の儚さや生成規則という点でとても面白かった。儚いと言うにはちょっと構造がごつ過ぎるけど^^;

 展示会場が殺風景なのは仕方がないので、屋外に置かれたところを見たかったな。茶室はアプローチから始まると思うので。。。